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SCP-1367-JP - 特別収容違反プロトコル【解説】

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基本データ

  • オブジェクトクラス: Euclid
  • 著者: noyama
  • 作成日: 2018年5月16日
  • 画像: Pixabayより(CC0)
  • リンク: SCP-1367-JP - SCP財団

 

三行で説明!

  1. 閉じ込められた時に限り高い知性と異常能力を発揮するシマリス
  2. どんな堅牢な部屋に閉じ込めても、超絶技巧によって必ず突破し脱出する
  3. 財団は二重の収容施設を作り、内側の収容室からはわざと収容違反させている

 

記事の解説

かわいい顔して、財団にとって天敵といえるリスさんです。

 

特別収容プロトコル

SCP-1367-JPには小型GPSチップが埋め込まれ、森のど真ん中に位置する収容室に閉じ込められます。

収容チームはこの収容室からSCP-1367-JPが脱走した時に初めて出動し、非活性化したのを見計らって捕獲・再収容します。ただし、森の外縁に200m以内まで近づいた場合は、非活性化していなくとも捕獲部隊り-4("サービス残業")が出動し、森から出るのを阻止します。サービス残業て。

 

説明

SCP1367-JPはシマリス属の不明種で、普段は通常のリスと同じ生態を見せますが、檻や部屋に閉じ込められると不定期に活性化し、異常な知能と特殊能力を発揮して脱走します。

活性化したSCP-1367-JPは口をワームホール化して、中から様々なもの(SCP-1367-JP-A)を取り出すことができます。口から出したアイテムを使って、収容を突破するわけです。

 

インシデント記録

SCP-1367-JPは当初口から針金を出してピッキングにより檻の錠を開けるだけのリスだと思われていたためAnomalousアイテムに登録されていました。

ところがある日、このリスは口からシリコンを分泌し、担当博士の指紋をとることで認証を突破、さらにパスワードを入力することでAnomalous実体収容室の扉を開錠してみせました。これを受け、SCP-1367-JPはEuclidに再分類されました。

その後のインシデント記録は以下の通りです。

  • 収容室入り口の扉に静脈認証を導入→口から発煙筒を出して煙幕を焚き、通気口から逃走。しかも通常のエゾシマリスを影武者として置いていくという周到ぶり。
  • サーモカメラを追加導入→口から大量の海水を出し、混乱に乗じて逃走。
  • 中脅威度動物の収容室に移動の上、排水装置を追加導入→口から出した"何か"によって壁はおろか直線上のあらゆるものを200mにわたって溶解させた。職員数十名が死傷。

と、過剰なまでの脱走能力を秘めていることがうかがえます。

置かれた状況に対し随時突飛な手段で対応するさまは、クソトカゲを彷彿とさせます。実際、担当の収容スペシャリスト・栗木もKeterクラスへの再分類を申請しましたが、サイト管理者により却下されてしまいました。その理由は…、

これまでの事例から、このアノマリーは収容を厳重にすればするほど脅威度を増してしまうと考えられます。工夫してください。皆さんの努力に期待します。

部隊名の"サービス残業"といい、ここでは財団がちょっとブラック企業的に描かれておりますね。しかも、収容スペシャリスト・栗木は異動を申請しましたがこれも却下されてしまいます。中間管理職・栗木の胃痛が心配。

 

誰にとっても時間は平等に過ぎるからこそ、ブラック企業社員は辛いのです。また明日も仕事がやってくる。インシデント記録はさらに回を重ねます。

  • 低脅威度動物の収容室に戻し、活性化後直ちに睡眠ガスを噴射→成功。活性化時も呼吸は普通にしている模様。しかも昏睡状態になると非活性化するようです。やったね栗木さん!
  • 上記と同じ設備で収容→口内に換気扇を出現させ、勢いよく換気を行いながら、シリコンによる指紋認証で脱走。甘く見ましたね。プロトコルはまだまだ定まりません。
  • 収容室を森林に偽装→しばらくの間誤魔化せたものの、壁の存在に気付いたのちに活性化して脱走。
  • 屋上に透明度の高いガラスで囲った収容エリアを設け、トラベレーターを作動させて壁への到達を防ぐ→トラベレーターが動いた時点で活性化。発煙筒・砲丸(?)・巨大送風機・ウイングスーツを使って空から撤退。

ウイングスーツを着たリス、見てみたい気もしますが、財団の技術でありつつ未知の規格によるスーツだったらしく、このリスの謎と脅威が深まるばかりです。

 

補遺2

収容開始から3か月経ったある日、担当エージェントが自ら収容室の扉を開け放ち、SCP-1367-JPを収容違反させました。

収容スペシャリスト・栗木によって彼に対しインタビューが行われましたが、このエージェントはカオス・インサージェンシーの手の者でもなく、SCP-1367-JPに未知の精神影響効果があったわけでもありませんでした。

 

彼はただ、連日の収容違反に疲れてしまっただけでした。

正直、疲れすぎてわけわかんなくなってたんだよ。あのクソネズミがどうしても収容違反を起こすってんなら、もうどっかに逃がして俺のいないところに行っちまえばいいと思ったんだ

これを聞いた収容スペシャリスト・栗木。

それだ!

 

と、いうわけで、現在の収容プロトコル、すなわち、

「森の真ん中に収容室を設け、SCP-1367-JPをわざと収容違反させ、非活性化したところを捕らえて戻す」

という手順が出来上がったのでした。

 

まさに特別収容違反プロトコル

限界まで追い詰められた時にこそ、人は打開策を見いだせるのかもしれません。

 

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